2023年06月15日
住宅に使われている「構造用集成材」とはいったいどのようなものなのでしょうか?この記事では建築業界の方のために集成材の種類や特徴、価格などの基礎知識についてご紹介します。
※本記事の用語の定義や規格などの情報は農林水産省発行の『集成材の日本農林規格』、日本集成材工業協同組合の情報を元にまとめております。
※SDGsに関しては、国際連合広報センターに記載の表現を引用しまとめております。
また、構造用集成材はSDGsの観点からも着目されている材料です。その理由についても見ていきましょう。
目次
構造用集成材とは
集成材とは丸太から切り出した2~4cmの厚みの板(ラミナ・ひき板)を乾燥させた後に接着させて造る材料のことです。何枚ものラミナをつなぎ合わせて、1枚の人工的な板や角材が出来上がります。木をそのまま切り出して造る、いわゆる無垢材と比較して強度や耐久性、寸法安定性が高く、湾曲させることもできるといったメリットがあります。
構造用集成材とは、その名のとおり建物の構造、つまり柱や梁、桁の材料として用いられる集成材です。これらの構造物は建物を支える骨組みであるため、国土交通省によって強度基準が決められています。
詳しくは後述しますが、構造用集成材にはさまざまな種類のものがあります。
集成材の種類
集成材の種類の分け方として、用途で分けるパターンがあり、造作用と構造用に大きく分かれます。構造用集成材の種類分けは、木材の組み方や断面の大きさ、ひき板の強度分布で分けるパターンなどがあります。
分類方法 | 分類内容 |
---|---|
用途 |
・構造用集成材: |
組み方 |
・LVL(単板積層材): |
断面 |
断面の大きさにより、以下のように区分されます。 |
ラミナの構成 |
集成材を構成する板(ラミナ・ひき板)の強度分布で以下のように分かれます。 |
構造用集成材で使われる樹種と木材としての特徴
上述の種類分けとは別に、ここでは樹種ごとの特徴もまとめます。さまざまな樹木が構造用集成材の素材として使われており、それぞれ特徴も異なります。よく使われているものに関して、特徴をわかりやすく表にまとめました。
樹種名 | 主な分布 | 木材としての特徴 |
---|---|---|
ヨーロッパ、ロシア |
・建築用としてよく使われている ・耐久性は並み |
|
アメリカ、カナダ |
・寸法安定性が優れている ・加工しやすい |
|
日本(東北を除く本州、四国、九州) |
・見た目が美しく香りも良い ・柔らかく加工性が優れている ・耐久性が優れている ・湿気に強い |
|
日本(本州、四国、九州) |
・見た目が美しく香りも良い ・軽量である ・安価である ・桧よりもさらに柔らかく加工しやすい |
|
日本(北海道、東北、中部地方の高地) |
・硬度が高く耐久性や耐水性に優れる ・腐食しにくい |
上記は弊社でも取り扱いがございます。上表に製品詳細ページへのリンクも記載しましたので、詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。
構造用集成材のJAS規格
集成材の品質はJAS(日本農林規格)によって基準が定められています。断面、強度、化学物質の飛散量など、さまざまな基準が設けられており、これらをすべて満たしている場合、JASマークを表示することが可能です。
構造用集成材の規格項目は以下のようなものがあります。
①接着の程度、②含水率、③ホルムアルデヒド放散量、④ラミナの品質(強度性能など)、⑤材面の品質、⑥塗装仕上げ、⑦曲がり、⑧反り及びねじれ、⑨湾曲部の最小曲率半径、⑩隣接するひき板の長さ方向の接着部の間隔等、⑪幅方向に接合したラミナの品質、⑫二次接着、⑬ラミナの厚さ、⑭接着剤、⑮寸法
詳細は集成材の日本農林規格を参照ください。
構造用集成材にJASマークがある場合、それはJASが定めた基準以上の品質をもつ製品ということになります。ただし、集成材の材料は天然素材である木なので、どうしても品質にばらつきが出てしまうものです。そこでJASではばらつきも考慮して基準が定められています。また弊社で扱っている集成材は全てJASマークがあるものとなっております。
構造用集成材の価格はいくらくらい?
集成材の値段は長さや大きさ、時期、品質、樹種、そのときの木材の流通量や市場価格など、さまざまな要素によって決定されます。そのため、「この集成材ならいくら」というように具体的な価格を表示するのはなかなか難しい面があります。
そのため、販売店への直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
SDGsから見た構造用集成材の特長
冒頭のとおり、構造用集成材の利用は今SDGsの観点からも大変注目されています。SDGsとは持続可能でよりよい社会の実現を目指すべく定められた目標で、2015年に国連サミットで全加盟国が合意しました。世界平和の実現や貧困の是正、ジェンダー平等、教育、環境保全など、今私たちが直面している課題を解決するための17の目標が掲げられています。集成材を活用することで、以下の目標の達成につながります。
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
木材は金属やプラスチックなどの代替として使うことができます。特に集成材は加工がしやすく、建物の構造や造作、家具など、さまざまな用途に利用可能であり、建築分野にはなくてはならない材料となっています。「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」という目標の達成に大きく貢献する材料といえます。
目標11:住み続けられるまちづくりを
集成材を使った木造住宅や建具、家具は見た目や風合いが良く、人々の生活の満足度を向上させます。「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」という目標の達成につながります。
目標12:つくる責任、つかう責任
木材は金属と比較して加工がしやすく、さらに集成材は無垢材では難しい湾曲加工も可能です。そのため他の材料と比較して加工時のエネルギー消費量や廃棄物の発生を抑えることができ、「持続可能な消費生産形態を確保する」という目標の達成につながります。
目標13:気候変動に具体的な対策を
木は光合成によって二酸化炭素を取り込みます。集成材を住宅や家具の材料として使うことで、炭素をその中に長期間固定することができ、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)に貢献するため、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」という目標の達成に寄与します。また目標7の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」にもつながります。
目標15:陸の豊かさも守ろう
集成材は間伐材や端材からも造ることができるため、木材を無駄なく有効活用できます。集成材の利用は「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営」の達成につながります。
K&Kコヤマは三重県SDGs推進パートナー登録企業
弊社は三重県SDGs推進パートナー企業になります。こちらの制度は、三重県内における企業や団体等のSDGsに向けた取り組みを見える化し、県が後押しすることで、持続可能な社会の実現に向けた取組を広げていくことを目的としています。詳しくはこちら。
この記事のまとめ
構造用集成材を使うことで、さまざまなメリットが得られます。使う箇所や用途、求められる性質などに応じて選ぶことが大切ですが、前述のとおり樹種ごとにそれぞれ特徴があるので選定するのは容易なことではありません。迷った場合は専門家に相談してみましょう。
K&Kコヤマは構造集成材をメインとした木材販売店です。幅広いラインナップで、ニーズに合わせた商品をご提案します。小口注文も大歓迎です。構造集成材のことならお任せください。